水処理Q&A集

洗浄剤:デスライム

デスライムはどのような製品ですか?
デスライムは主成分が過酸化水素でその強力な酸化力と分解時の発泡で物理的にも洗浄します。スライムや軟質汚泥物等の汚れに対して優れた剥離・洗浄力を発揮します。しかし、水質や運転条件により、カルシウム、シリカのような硬質スケールが付着していますと「デスライム」では除去できないことがあります。その場合は、改めて酸洗浄を実施して下さい。姉妹品にデスライムLP,デスライムFなどがあります。本製剤は抗レジオネラ用空調水処理剤協議会の登録薬剤となっています。
主な用途は?
クーリングタワーの洗浄、浴場の洗浄、食品ラインの殺菌洗浄、給水ラインの洗浄などに幅広く使われます。
使用濃度はどの程度ですか?
標準的には、系内の保有水量に対して10%(場合により5~10%)を使用します。
洗浄時間とその方法は?
実質の洗浄時間は数時間ですが、設備単体で洗浄する場合と設備全体で洗浄する場合がありますので、作業前に洗浄計画を立てます。
洗浄後の廃液処理はどうしますか?
放流先が下水の場合は、過酸化水素分解剤「ダイヤスーパーEZ(カタラーゼ)」を投入し残留過酸化水素を分解後、「デスライム試験紙」にて残留過酸化水素の有無を確認後に放流します。
放流先が河川等に限られ放流できない場合は、産業廃棄物処理とします。
(水質汚濁防止法排水基準)
所轄労働基準監督署への届出は、必要でしょうか?
使用ユーザーの場合、届出等は必要ありません。デスライムは劇物に該当する為、保管の際は、専用の鍵のかかる保管庫に貯蔵する必要があります。
内容物、容器は廃掃法などの法規制に従って廃棄するよう記載されていますが、産業廃棄物として専門業者に処理を依頼する必要がありますか?
内容物や容器は、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託します。

冷温水系防食剤:コントライムK-6000(亜硝酸系)シリーズ

コントライムK-6000シリーズはどのような製品ですか?
防食剤の中では酸化被膜型に分類され素地金属との密着性が強く、緻密で性能が最も優れています。製品は亜硝酸系で特定の菌によって分解されやすい欠点もあります。この欠点は特殊な抗菌剤(特許を取得)使用したK-6300でカバーされています。※防食性能は亜硝酸→1m.d.d以下/モリブデン酸→10m.d.d以下
ただ、モリブデン酸系の防食剤と言っても単独のものは少なく、他の薬品が配合されているケースが多いので注意が必要です。
1m.d.d=mg/dm2/day
K-6000とK-6300の違いは?
どちらも亜硝酸系の薬剤ですが、K-6000には抗菌剤が配合されていません。K-6300は抗菌剤を配合し亜硝酸系の薬剤の分解障害を防止しています。この技術は2012年に特許が成立しています。
K-6000とK-6300の使い分けは
外部との接触がない、密閉系のラインであればK-6000で問題ありません。
外部との接触がある場合は、菌による分解の恐れがありますので抗菌剤配合のK-6300を推奨します。
K-6000シリーズを使用する場合の水質は?
基本的に水質(水道水、工業用水、井戸水、純水、RO(逆浸透)水)を問わず幅広い水に適用できます。
K-6000シリーズを使用する場合の適用温度は?
冷水から温水まで(0℃~90℃)の幅広い範囲で適用できます。
既存設備で赤水化している場合でもK-6000シリーズは使用出来ますか?
赤水化している場合は、薬品を入れても消耗が激しいので、水の入れ替えや濾過処理が必要です。設備毎に症状が異なりますので別途ご相談ください。
K-6300の冷水系と温水系の薬剤濃度の違いは?
一般的に高温域の方が腐食速度(m.d.d)は高いため濃度を高くします。※K-6000との維持濃度の違いは、殺菌剤の必要量に関係するためです。満水保管時との維持濃度(3,000ppm)の違いは、殺菌剤の消耗等を考慮しています。
K-6000シリーズ管理方法は?
定期的な採水分析によって薬品の維持濃度を確認し管理しますが、場合によっては金属イオンの挙動も調査します。※冷温水系統にK-6000シリーズの薬品を使用しても全く腐食が起こらないというものではありません。(1m.d.d以下の防食性能)
これまでの知見の中で、定期的な水の置換を実施することで、より良好な維持管理が実現できると考えております。1年ぐらいで定期的に水の置換を行うと考えれば、それに伴い薬品の補充も最低1年おきに必要となってきます。
亜硝酸系防食剤の性能は?
一般的に素地金属との密着性が大きく、緻密で防食性能は良好とされています。※防食性能は亜硝酸→1m.d.d以下/モリブデン酸→10m.d.d以下
ただ、モリブデン酸系の防食剤と言っても単独のものは少なく、他の薬品が配合されているケースが多いので注意が必要です。
使用実績は?
K-6300についてはすでに半密閉系の冷温水系統を含め、幅広い現場で多数実績があります。
K-6000と同じ使用方法(使用濃度)で良いですか?
使用濃度は抗菌剤の配合量にも関係しますのでカタログ記載の管理濃度を守ってください。

レジオネラ属菌について

レジオネラ属菌は、ヒトに対してどれだけ危険なのでしょうか?
レジオネラ属菌は自然界に広く分布している細菌です。レジオネラ属菌感染の主な症状は高熱・咳・たん・頭痛などですが、重篤な場合には肺炎を起こし死に至る場合もあります。
レジオネラ属菌は健康な人に対する病原性は低いが、ガン・代謝障害・アルコール中毒者・高齢者など抵抗力の弱った人に対しては強い病原性を発揮します。いわゆる『日和見感染』を起こす細菌です。世界保健機構(WHO)が制定したLaboratory biosafty manual(実験室生物安全指針L)に基づき各国で病原体の危険性に応じて4段階のリスク群が定められています。リスク群分類を基準としてバイオセーフティレベル(BSL)分類が定められています。レジオネラ属菌は全菌種とも、BSL 2に分類されています[参考]。同レベルのウィルスに、インフルエンザウィルスなどがあります。(但し、レジオネラ属菌はウィルスではなく、細菌です。)

[参考]病原体等のリスク群による分類

  • リスク群 1(BSL 1 が対応)
    ヒトあるいは動物に疾病を起こす見込みのないもの。
  • リスク群 2(BSL 2 が対応)
    ヒトあるいは動物に感染すると疾病を起こし得るが、病原体等取扱者や関連者に対し、重大な健康被害を起こす見込みのないもの。また、実験室内の暴露が重篤な感染を時に起こすこともあるが、有効な治療法、予防法があり、関連者への伝播のリスクが低いもの。
  • リスク群 3(BSL 3 が対応)
    ヒトあるいは動物に感染すると重篤な疾病を起こすが、通常、感染者から関連者への伝播の可能性が低いもの。有効な治療法、予防法があるもの。
  • リスク群 4(BSL 4 が対応)
    ヒトあるいは動物に感染すると重篤な疾病を起こし、感染者から関連者への伝播が直接または間接に起こり得るもの。通常、有効な治療法、予防法がないもの。

国立感染症研究所 病原体等安全管理規定(平成22年6月)より

レジオネラ症は「感染症法」の四類感染症に指定されていますが、もし羅患した場合、隔離などの処置を受けるのでしょうか?
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(いわゆる感染症法)によれば、レジオネラ症と診断した医師は直ちに患者の年齢、性別、診断方法等を保健所に届ける規定になっています。医師による届出だけで、患者が隔離などの処置をうけることはありません。
レジオネラ属菌は冷却水循環系のどこに生息しているのでしょうか?
レジオネラ属菌を含めて細菌類は、循環冷却水中よりも冷却塔や循環配管内に形成されたバイオフィルム(細菌類・原生動物などの微生物や土砂からなる粘性を帯びた付着物)の中に多く生息しています。特にレジオネラ属菌は、バイオフィルム中の原生動物(アメーバなど)に寄生して増殖することが知られています。
レジオネラ属菌はどのようにして冷却塔に入り込むのでしょうか?
レジオネラ属菌は土壌や淡水中に広く存在する細菌で、土埃などと共に空気中を運ばれ、冷却塔から冷却水中に混入すると考えられています。
レジオネラ属菌の検査回数はどのようにしたら良いのでしょうか?
レジオネラ属菌検査は、『レジオネラ症防止指針(第3版)』に記載の「感染危険因子の点数化(スコア化)と対応」を参考にして定期的な検査の頻度を決めます。
状況に応じた感染危険度を

  1. 菌の増殖とエアロゾル化の要因
  2. 環境・吸入危険度
  3. 人側の要因

についてそれぞれ点数化し、それらの合計点に応じてその状況下での対応が示されています。危険度に幅が認められる場合には通常は危険度の高い方を選択します。
冷却水系のスコアは5点~5点となります。各施設による検査の頻度例はこちら項参照。

レジオネラ属菌はどのようにして検査するのでしょうか?
レジオネラ属菌は一般的な細菌検査法では検出されず、専用の方法での検査が必要です。
冷却水を採取して持ち帰り「レジオネラ症防止指針(第3版)」第5章 レジオネラ属菌の検査法(付録2.レジオネラ属菌検査法について参照)記載の方法に従って検査を行って下さい。
レジオネラ属菌の検査の際、菌種まで同定していますか?
2007年の時点で、レジオネラ属菌には55菌種が確認されています。現在、レジオネラ属菌種の病原因子が解明されていないので、全ての菌種がレジオネラ症を引き起こす可能性が有ると考える必要があります。従って、通常の検査では菌種まで同定していません。
ただし、レジオネラ症防止指針(第3版)では、『レジオネラ症患者集団発生はもとより散発患者が確定診断された場合には、感染源として疑われる環境水のレジオネラ属菌検査を実施して、レジオネラ属菌が検出された場合には、地方衛生研究所等の協力を得て、菌種と血清群を同定し、可能であれば患者株と環境株の分子遺伝学的異同を決定しなければならない。』としています。
冷却塔運転開始時にやることは何でしょうか?
冷却塔の使用開始時には、冷却塔の物理的清掃を行うとともに系内の化学的洗浄を行います。(化学的洗浄は使用終了時にも行う)
冷却水系を化学的に殺菌洗浄するには、過酸化水素、有機系殺菌剤、または塩素剤を循環させます。化学的洗浄により冷却水系全体がかなりの程度まで殺菌され、レジオネラ属菌数も検出限界以下となります。また数日以上にわたる使用休止後は、再開する前に殺菌等の処理を行って下さい。
定期的なレジオネラ属菌の殺菌対策は必要なのでしょうか?
清掃、消毒等の対策により、一旦レジオネラ属菌数が検出限界以下であることが確認できても、その系内でのレジオネラ属菌の完全消滅を意味するわけではなく、また新たな混入も考えられるため、再び増殖する場合が多く見られます。よって、定期的な清掃(物理的清掃)を行うとともに化学的洗浄と運転中の殺菌剤の継続的な投入等の定期的・継続的な殺菌対策が必要です。
化学洗浄を実施した場合、効果はどの程度継続するのでしょうか?
適切な化学洗浄を行った場合、洗浄直後は冷却水系のレジオネラ属菌数を検出限界以下にすることができます。しかし、化学洗浄の効果は長続きせず、冷却水系の運転状態や季節などの外的環境にもよりますが、レジオネラ属菌数は10日程度で洗浄前の状態に戻ります。従って化学洗浄後は、継続的に薬剤等による殺菌処理が必要です。
殺菌剤の効果を維持させるためにはどのような注意が必要なのでしょうか?
冷却水中のレジオネラ属菌を殺菌剤で処理する場合、効果を持続させるために、水処理対策が必要です。殺菌剤の効果を持続させるための水処理対策としては、冷却水系の濃縮管理とスケール、バイオフィルム、腐食の防止策も重要です。冷却水の濃縮管理は、自動ブロー装置による電気伝導率管理で行い、スケール、バイオフィルム、腐食防止は、各機能を有する薬剤の添加によって行ってください。
殺菌剤の添加方法にはどんなものがあるのでしょうか?
間欠添加方法と連続添加方法があります。
《間欠添加方法(衝撃添加方法)》
殺菌剤(単一機能型薬剤)を2~7日の間隔で、保有水に対して所定濃度になるような量の薬剤を一度に添加する方法です。この場合、レジオネラ属菌数を減少させた後に菌が立ち上がるまでの時期を殺菌効果持続期間としています。
《連続添加方法》
薬液注入ポンプ等で連続注入し、冷却水中の殺菌剤濃度を一定に維持してレジオネラ属菌を抑制します。この場合防食・防スケールと殺菌効果を併せ持つ多機能型薬剤、または殺菌剤(単一機能型薬剤)を連続添加することで冷却水は殺菌され、安定な効果が得られます。
しかし処理を継続していても冷却水中のレジオネラ属菌数が増加し始めた場合は、高濃度の衝撃添加、化学洗浄の実施等の対策が有効です。
レジオネラ属菌は殺藻剤により藻を除去することにより殺菌できるのでしょうか?
殺藻剤によって、藻類を除去した場合も細菌類、原生動物から成るバイオフィルムが存在する場合があります。そうした環境ではレジオネラ属菌が増殖するので、殺藻剤による処理は根本的なレジオネラ属菌の殺菌対策にはなりません。
古くなって使わなくなった水処理薬剤はどの様に処分すれば良いのでしょうか?
各水処理薬剤のMSDSに記載された処理方法で適切に廃棄処分を行って下さい。
薬剤を添加した冷却水を排出する場合どの様な注意が必要なのでしょうか?
排水に関する法律・令・規則の基準を守り放流を行って下さい。原則として薬剤処理を施した冷却水のブロー水は、公共下水道等の終末処理場を有する場所へ排出するものとし、池、湖、水田、河川、海等に直接排水しない事をお願いします。
抗レジオネラ用空調水処理剤協議会に登録されていない殺菌剤でもレジオネラ属菌に効果があるのでしょうか?
登録品以外でも効果のある薬剤は存在するかもしれませんが、有効性、安全性の面で検証が不十分な恐れがあります。一方、協議会に登録された薬剤は効果の面でも安全性の面でも自主基準を満たしており、有効性、安全性が一定水準以上に確保されています。
抗レジオネラ用空調水処理剤協議会に登録された薬剤(もしくは原料)であれば、どれでもレジオネラ属菌に効果があるのでしょうか?
登録された薬剤(もしくは原料)はすべてレジオネラ属菌に対して効果を有します。
但し、冷却水系の運転条件、水質等により効果の程度が異なってくることがあります。そのため薬剤の選定、使用方法に関しては、当該協議会会員会社に相談することをおすすめします。

抗レジオネラ用空調水処理剤協議より引用

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